エミダススタイル

経験と実績が生んだ新技術

 精密金属プレス加工を手がける有限会社宇井精研(群馬県太田市)を訪問した。
プレス加工を行う工場は多数存在するが、超薄板の量産加工を手がける会社として、県内では例がない。
現社長の宇井哲男氏は、金型業界30数年の経歴の持ち主。独立し、昭和63年6月に現在の専務・工場長の3名で宇井精研を設立した。今回お話をお伺いしたのは、工場長の山口氏と、社内システムやWebページの制作から現場での加工までを担当する福田氏のお二人。

 宇井精研では、板厚1ミリ以下の弱電・端子関係の精密プレス部品を主とする。また精度の要求する金型の設計から製作を手がける。
同社はお客様との綿密な打ち合わせから始まり、商品の開発段階から量産に至るまでを一貫して行う。金型は設計から手がけているので、設計変更にも敏速な対応が可能だ。
また、従来の金属プレス加工では不可能といわれていた、超薄板(20ミクロン)の金属板でのプレス加工を実現した。
超薄板加工は、プレスで打ち抜くとバリやソリなどが生じ限界があるため、エッチング処理が一般的となっているが、同社ではこれをプレスで実現。その結果、時間短縮と大幅なコストダウンにつながった。他社との差別化を図るためだと、福田氏は言う。
結果、今までは弱電に偏っていた同社の部品加工が、実用される製品が増え、同時にお客様の幅も広がったと。工場長の山口氏。
これらは全て、宇井精研の経験と実績、そして常に挑戦し続ける前向きな取組みが、全て不可能を可能にした。
プレス加工を行う会社は無数に存在するからこそ、他ではできないものに挑戦する。
また、一般的に難しいものをやりこなすことで自社の売りとなり営業の幅を広げる。
これが宇井精研の営業スタイルである。

結果は後からついてくる!

板厚20ミクロンのプレス加工技術は、お客様との打ち合わせを重ね、幾度と無く挑戦し、長い開発期間(約3年)を経て実現に至った。
開発に費やした3年は、今の宇井精研に多大な利益を生み出している。
まず、やり遂げたけたことにより社員の士気が高まった。挑戦し続けることにより、「必ずできる」ことを工場長が社員に実証し、勇気と希望を与えたのだ。
また、お客様と同社の間に「共に作り上げる」という関係を築きあげ、協調性が生まれた。
時間と、実績、経験で期待以上の成果をはっきした。
「結果は必ず後からついてくる。」と工場長は自負する。

ITへの取組み

2001年の春、宇井精研のITへの取組みが始まった。
営業の手段といえば、従来は「足で歩く」事以外に手立てがなかったが、時代は変わった。
今や発注企業もインターネットで気軽に工場を探す時代。選ばれるためには必要不可欠。
そう感じた宇井社長がホームページを立ち上げることを決意した。
当時は、CADに使用していたパソコンが1台。ネットの環境も整っていなかった。全く「0」からの出発となるが、インターネットが及ぼす可能性に胸を躍らせ、スタートを切った。
ネットの回線を引き、ホームページは作成業者に依頼した。環境は全て整ったと見えた。
しかし、期待通りの反応がかえってこなかったという。
「ただ待っていのではダメだ!」ここから、同社のIT活用が加速する。
まずは、検索エンジンへの登録から、HTMLに自社にマッチすると思われるキーワードをmetaタグとして埋め込んだ。
また、WEB上に掲載する部品の写真は、セミナー(エミダス道場)やコミュニティ掲示板に積極的に参加し、クオリティを上げるノウハウを学んだのだという。自ら動かなければ何も始まらない。
そしてその夏、同氏の努力が実を結び、初めて見積もり依頼が舞い込んできた。
その後も満足することなく、走り続ける。ホームページも今回は自社で制作し、情報の更新を幾度と行った。
しかし、ネットを積極的に利用していきたいものの、ネットでの取引には不信感があった。
そこで同社ではネットで出会ったお客様とは必ず一度、顔をあわせるようにしているという。そうすることで、ネットに対してのボトルネックが解消され、新たな取引に対しても、スムーズに行う。

ネットを活用すればするほど、従来は足で歩く営業でもなかなか結びつくことが困難だったお客様との出会いが広がった。
インターネットの威力が実証された。

創意と工夫が実を結ぶ

2001年のホームページ立ち上げから、新規取引先に結びついたのが10件以上、その中でも数社、継続的に取引が続いている。
紹介や口コミで広がっていくケースが多いのだと言う。
また、参考程度の見積もりと判っていながらも対応した案件が、1年後に決まった事もあった。
無駄なことは何も無い。そういう経験から、依頼があれば誠心誠意で対応する。見積もりだけで終わってしまう事のほうが多いが、やらなければ始まらないと工場長は感じている。
お客様からの見積もり依頼については、ただ言われるがままに見積もりを返すのではなく、自社ができる技術や加工実績を最大限PRし、大いに活用する。そうすることで確実に受注に結び付けている。
きっかけは何であっても、その後のフォローで何十倍もの利益を生み出すことができる。その自信があるから、多くのお客様の目に触れる事に邁進し、検索エンジンでは常に上位にヒットされるよう努める。
ホームページやEMIDASを通じて、週に数件の問い合わせがあるという。
見積もりにはかなりの時間を要するが、誠心誠意で対応、それが新規取引先の開拓につながる。

宇井精研の未来を担う

現在はパソコン5台を全てネットワークを組み、情報・図面等の共有に活用。フロッピー等で、ファイル共有を行っていた頃を考えると、作業の効率化、時間の短縮につながった。
また同社では、業務と取引先の拡大に伴い社内システムを自社で開発。全て福田氏の手で創られたものばかりである。
システムを買えば数百万円以上、それなら工作機械を買ったほうが会社にとってメリットがあると、福田氏は言う。

同氏は宇井精研に入社する前は、旅行会社に勤務する。旅行会社も製造業同様、他社との価格競争が激しかったと語る。
限られた枠の中で常に最大の力を発揮する。そのための努力を惜しまない。
入社して4年目、工場長の指導の元、現場を経験。現在は現場から営業、管理、WEBマスターとしてあらゆる業務をこなす。
10年経っても身につかない知識と技術を短期間に収得し、宇井精研の未来を担う。

今後の展開

今後は、今までの経験と実績を生かし、自社製品の開発「宇井ブランド」を創っていきたいとのこと。現状に満足することなく挑戦し続ける姿勢が、新たなチャンスを生む。
そう遠くない将来、「宇井ブランド」は必ず私たちの前に現れるということを感じさせてくれた。

まとめ

インターネットの世界は、マウスを1回クリックするだけで、同じような仕事を行っている会社に飛ぶことができます。つまり、インターネットには、場所や距離といった概念がありません。もう少し分りやすい言い方をすると、インターネットの海の中に、みなさんと同じような技術を持ち、同じような規模で、同じように仕事をしている競合会社が、一箇所にひしめき合っているということです。
このようなインターネットの特性をよく理解し、活用すること、そして誠心誠意対応することが次の成功を生む第一歩となります。